5バックだからこその前重心 / 2018/09/01 vs川崎

お疲れ様です。

優勝争いをしている川崎フロンターレから勝ち点3を奪うことができました。素晴らしいことです。

この試合、何が良かったか考えると、

1、守備の陣形を作った時の距離感を90分間維持できたこと

2、5バックで守っているので、DFラインやブロックの誰かが飛び出してもカバーリングがあることから、守備の積極性を増したこと

3、前からのプレッシングもしっかりしかけてボール回収のパターンを繰り返し作れたこと

以上の3点がポイントだった。

 


1、守備の陣形を作った時の距離感を90分間維持できたこと

川崎フロンターレの攻撃の組み立て力は、リーグ屈指。宮本恒靖監督の理想はあるが、現状はそんな理想を捨てて泥臭く勝ち点を積み上げなくてはいけないのがガンバの現状。そこで、宮本恒靖監督は三浦弦太、ファビオ、菅沼駿哉の3CBとオジェソク、藤春をSBとする5バックと小野瀬康介今野泰幸遠藤保仁倉田秋の4人で5-4のブロックをしっかりと作って戦うことを選択。

押し込まれた状況や試合終盤でも基本の5-4のブロックは適切な距離を取り続けて、川崎フロンターレに決定的なシーンを与えることなく試合を運ぶことができた。

適切な距離感というと曖昧。私もサッカーをしてた時は『守備のブロックの距離感らニュアンスで』などとふざけたことを言いながらやってた。しかし、適切な距離感で守るためにベストな間隔はだいたい8~10mらしい。この距離感をベースに常に5-4のブロックを作ったので、ペナルティアーク付近にボールが来ても川崎の選手にはシュートコースも無くなってるし、パスをしようにもガンバのDFがすぐ近くに常にいるので、パスもうまく繋げられないという状況を作った。東口順昭がファインセーブすることなく戦えたことがその証左だった。

 

2、5バックで守っているので、DFラインやブロックの誰かが飛び出してもカバーリングがあることから、守備の積極性を増したこと

試合後のコメントで宮本恒靖監督が昨年までの映像を見せて、1対1をしっかりとすること、連動して守ることを要求したと言っている。システムとも絡みがあると思うのだけど、今までガンバの選手が1対1に行けなかったのは、ボール保持者に食いついても空いたスペースを使われる不安があるからだったんじゃないかと思う。5枚で守れば、三浦弦太菅沼駿哉も前に行ける。何故ならそのスペースをファビオが埋めてくれるから。中盤の選手も同様で、プレッシングで前に出ても後ろの枚数は揃っているはずなので、思い切ってボール保持者に積極的にチャレンジすることができたと言うのが実態だと思う。5バックで後ろが重くなるのは確かだけど、だからこそできるチャレンジがガンバの守備をより安定させたように見えた。

 

3、前からのプレッシングもしっかりしかけてボール回収のパターンを繰り返し作れたこと

さて、5バックじゃ相手からの攻撃を受け続けてサンドバッグになってしまうのでは?と心配することもある。しかし、この試合のガンバは川崎の選手が後方でビルドアップをしようとしてる時もしっかりとプレッシングをかけることを心掛けていました。渡邉千真小野瀬康介倉田秋今野泰幸の4人にどちらかのSBが連動するような形で川崎のDFラインのビルドアップ隊にしっかりと圧力をかけることで選択肢を制限することにより、ボールを前に運べているが気がつけばガンバディフェンスの足元にボールが収まっているというシーンを繰り返し作ることができた。

なお、先制点のCKも小野瀬康介やオジェソクが川崎自陣でのスローインからはじまったビルドアップをしっかりとアプローチしてボールを奪ってから獲得したもの。

 

ガンバ大阪にとって、この試合は大きな収穫が見えた試合でした。5バックだから後ろに重心ではなく、5バックだからこその前重心でのプレッシングの形や自陣深い位置での守備ブロックを作る形で組織的な攻撃で仕掛けてくる川崎に対して0失点で破綻することなく戦えたナイスゲームだった。しかし、ところどころでは帰陣が遅くなることでスペースを与えてしまうことがあった。

プレッシングに行くのか、ブロック形成するのかの判断を宮本恒靖監督の顔を見ながら判断している選手もいた。まだまだ、守備組織としての完成度は高くないのが現状。日々の練習や試合を繰り返す中で、チームの約束事を全員が理解して適切な判断とプレーアクションを90分間続けられるようにしていかなくてはいけない。

 

リーグ戦も残り9試合。目標の勝ち点40まではあと5勝1分。

最悪のシナリオへの不安はありますが、

『残留争いのライバルになりそうなチームより残り9試合で2~3試合多く勝てれば残留できる可能性があるんだ。』

『直接対決の時に勝つことができれば残留できる可能性が広がるんだ。』

と前向きな気持ちをもって取り組むことが大切だと思う。負けたらどうしようとか、ネガティブな気持ちだとネガティブなことしか起こらない。苦しい状況ですが、しっかりと前を向いて何をするべきか明確にして監督や選手たちにはトレーニングに励んでもらえばよい。応援する私たちはファン、サポーターは沈んだ空気は絶対に造らず、ポジティブな雰囲気で選手たちに勇気を送り続けたいなと思う所存。

 


G大阪vs川崎Fの試合結果・データ(明治安田生命J1リーグ:2018年9月1日):Jリーグ.jp

ガンバ大阪 2018マッチレポート | 9月1日 vs 川崎F | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB

<ガンバ大阪>ホームでの川崎フロンターレ戦は、宮本ガンバとして初の完封勝利!(高村美砂) - 個人 - Yahoo!ニュース

[参考文献]

詳しいことはわかりませんが、サッカーの守り方を教えてください

詳しいことはわかりませんが、サッカーの守り方を教えてください

 

 

 

宮本監督 就任直後の6連戦 / 2018/08/19 vs仙台

お疲れ様です。

宮本恒靖監督就任から6試合、6連戦が終わりました。試合間隔は3日もしくは4日というスケジュール、そのための準備期間は3日間。鬼の所業としか言えない困難な状況だった。

個人的にはなんとか試合数と同じだけの勝ち点を拾えればと思っていたので、1勝3分2敗で勝ち点6、11位の清水エスパルスまで勝ち点差7で現在を迎えられているのは及第点じゃないかと思う。

 

ポジティブな要素を振り返る。

全試合でゴールを奪えていること

6試合中5試合で先制点を奪えていること

ゴールを奪う形はなんとなく見えてきたこと

M-T-Mのサイクルの中で課題に対してチームとして対策し、チーム作りに取り組めるようになったこと

ファンウィジョ、初瀬亮、今野泰幸など、主力級のクラスの選手が抜けた中でもそれなりに戦えていること

渡邉千真小野瀬康介が戦力になってくれそうなこと

高宇洋、一美和成、高江麗央がJ1でも通用しそうな匂いがしてきたこと

 

ネガティブな要素を振り返る

宮本監督就任まで1年間まるでチームとしての成長を促すトレーニングができていないこと

それに伴い、チームとしての全く土台なしの状態でここからどれだけ積み上げられるかわからないこと

ゲーム体力の不足による試合終盤の疲労がすごいことと混乱や動揺を招いてしまうこと

宮本恒靖監督含めたスタッフの経験不足

とにかく時間が足りないこと

ざっと思いついただけで、こんな感じの要素が今のガンバ大阪には思いあたる。

 

ベガルタ仙台戦は、付け焼き刃で戦ってきたボロがモロに出て、ネガティブな要素がたくさん出てしまった試合だ。

なんとか前半は主導権を握りかけるけど、後半に止まってしまって、みんながバラバラになっちゃう。だから、選手それぞれが持っている悪いところがどんどん出てきてしまう。

ピッチ上でいろんな課題が出ていて、全ての課題を後半のうちに解決して勝利するには交代枠が3じゃ足りない。そもそもそれは短期的な解決で、もっと根本的にチームとしての基礎がないから、思考停止や慌てたプレー、悪い癖の表出に繋がっているのだと感じたのがベガルタ仙台戦。

 

これから、リーグ戦での中3~4日の連戦は無くなるので、試合と試合の間の準備期間は取れるようになる。試合間隔が短くて取り組めなかったトレーニングにも取り組めるだろう。

前述したポジティブな要素はもっと高めていかないといけないし、ネガティブな要素は今季中に解決できないものもあるし、解決できるものもあるので、解決できることはとにかく色んな手段を使って解決しないといけない。

 

この6連戦ってなんだったんだろう。宮本監督たちにとっての夏合宿のようなものだったのかもしれない。たくさん試合をして、課題をたくさん出していって、これからの終盤戦に向けて何をするべきかを炙り出すための。

ここからガンバ大阪のトップチームがJ1残留に向けて必要なことは無いものを悔やむことではなく、今ある課題に向き合って立ち向かうことだと思う。

こんな時期だけど、解決しなきゃいけない具体的な課題があることと課題を解決した先に伸びしろがあることをポジティブにとらえよう。

 

仙台vsG大阪の試合結果・データ(明治安田生命J1リーグ:2018年8月19日):Jリーグ.jp

ガンバ大阪 2018マッチレポート | 8月19日 vs 仙台 | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB

守備から攻撃への切り替えの局面のパターン不足 / 2018/08/15 vs札幌

お疲れ様です。

後半のサンドバッグ、クロス対応の連続の中、良く1失点で耐えたのか、追加点を奪いきれなかったと悔やむのか。どちらかというと、後者かなという引き分け。

サッカーには4つの局面があるとされている。

① ボールを保持し攻撃をしているとき」

② 「①の状態からボールを奪われた瞬間からの短い時間(攻撃から守備のトランジション)」

③ 「ボールを保持され守備をしているとき」

④ 「③の状態からボール奪い、②の攻撃の時間に転じる短い時間(守備から攻撃のトランジション

札幌戦の中で気になったのは①の局面でシュートまで運ぶ仕組みができつつあることと、④の局面で奪ってからマイボールにした時に確実に攻撃につなぐ手段の拙さだった。

攻撃の局面について

先制点となったPK獲得のシーンが象徴している。相手陣内のペナルティエリアの近くにボールを運ぶことができればそれなりにシュートまで運ぶことができてきた。

ボール保持者と受け手の位置どりが適切だったことで、札幌のディフェンスラインを押し下げ、遠藤保仁のシュートやPKに至った倉田秋遠藤保仁のワンツーパスでのペナルティエリア侵入につながった。

FC東京戦の決勝点や札幌戦の後半の一美和成のシュートシーンもそうなのだけど、相手を押し下げてボールを保持することができればシュートまで運べる仕組みは出来てきた感覚があるので、とにかく複数得点を獲得できるかがこれから、引き分けの試合を勝ちに持っていけるかのカギになる。ファンウィジョ、渡邉千真、初瀬亮がいればより改善される可能性もある。とにかく得点の匂いがする状態を長く作りたい。そのための前提は守備から攻撃への移行の成功率を高めることになる。

守備から攻撃の局面へのトランジション

宮本監督が就任してから3週間ほど。おそらく③の守備の局面での基本立ち位置、①の攻撃の局面での動き方は仕込んでいるのに精一杯。この状態を抜け出すためには自陣深い位置でボールを奪う、拾った時の約束事を作り上げることだろう。

連戦の中でトレーニング時間も限られている。体力を回復する時間を割かなくてはいけない。それゆえ、先述した④の守備から攻撃につなぐための時間の仕込みが出来てないのが現状なのだと思う。大きくクリアするかなんとかヘディングなどで自陣ペナルティエリアの外に掻き出すことが今できることなのだろうと察する。

ボールを奪って2~3つのパスを繋いで自陣でボールを保持するとか、前にボールを進めて陣地を回復するためのビルドアップのパターンをインストールすることが試合間隔が空いてくる仙台戦から鳥栖戦以降の重要な作業になるだろう。この作業については、昨年のU23宮本恒靖監督がひたすらやってきたこと。

ボランチの高宇洋や高江麗央がボールを奪ったときに位置どりしようとしてる位置の把握をCBの菅沼駿哉、ファビオ、三浦弦太は出来てないし、SHの倉田秋米倉恒貴が高江と高が次につなげたいところにポジションを取れてないことも伺える現状。ここから抜け出して、ビルドアップのパターンをインストールする時間が早く欲しい。(中5日の期間とか、代表ウイーク)

札幌戦のようなサンドバッグ状態から抜け出すための手段のひとつは攻撃に転じる回数を増やすこと。受け身になりつつもジャブを打たないといけない。ロスタイムの失点の原因を体力不足、守備力の弱さだけにとどめるのではなく、攻撃に転じる手段の拙さにも課題を持たないとしんどくなるなという試合だった。

 

残り12試合、勝ち点21。当面、目指す勝ち点40にたどり着くには19ポイント。

4勝7分1敗

5勝4分3敗

6勝1分5敗

7勝0分5敗

とにかく1つの勝利が欲しい状況に変わりはなく焦る気持ちはあるけれど、なんとか残留を掴み取りたい。勝ちきれないけど、先制点を取って負けないチームにはなってきた。克服すべき課題も明確。しかし、時間は限られている。

 

G大阪vs札幌の試合結果・データ(明治安田生命J1リーグ:2018年8月15日):Jリーグ.jp

ガンバ大阪 2018マッチレポート | 8月15日 vs 札幌 | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB

<ガンバ大阪>コンサドーレ札幌戦はアディショナルタイムに同点弾を許し、引き分けに終わる。(高村美砂) - 個人 - Yahoo!ニュース

サッカーを進化させた理論体系「オランダメソッド」の逆襲 | footballista

高宇洋が示したゲーム体力の意味 / 2018/08/10 vsFC東京

お疲れ様です。

必死のパッチの勝利でした。ショッキングな敗戦から中4日。戦術的な修正よりも、選手たちのメンタルへのアプローチが重要な準備期間だったようにも思っていた。

宮本監督は新米監督らしく、全力でその両方にアプローチをしてくれた。

戦術的な面と韓国サッカーの事情

ファンウィジョが韓国代表に召集されるため、8/10のFC東京戦から最長で9/1の川崎戦まで離脱する。前線での相手最終ラインとの駆け引き、守備でのチェイシング、シュートで組織のないクルピ体制下ガンバの中で奮闘していた選手。もちろん、彼ができるプレーは宮本恒靖監督にとってもキーファクターの一つである。はっきり言ってダメージである。

短期的に見て、離脱の影響は大きい。しかし、長期的に見ると今回のアジア大会でファンウィジョが優勝して帰ってくることはガンバにとってうまみがないわけではない。

韓国代表でこれから出場する大会に出て優勝することは『兵役免除』という韓国人サッカー選手にとってとても大切な権利を得る。兵役のことを考えるとファンウィジョがガンバに残れる期間は長くてあと1年半だっただろう。しかし、兵役免除を得られればオジェソク(ロンドン五輪銅メダリスト)と同様に、長期的なスパンでファンウィジョの扱いを考えることができるようになるのだ。

なお、ワールドカップメンバーでトットナムでレギュラークラスのソンフンミンも兵役免除のラストチャンスにかけてアジア大会にでる。トットナムもソンフンミンを開幕直後のこの時期に手放すなんて『無理』だけど、ここで兵役免除失敗すると、本当にタダ同然で手放さないといけなくなるので、飲むしかない。

こういう時に、朝鮮半島の事情はなんだかんだでまだまだ休戦状態なだけなのだと突きつけられる。

ストライカーの離脱とサイドバックの頭数不足への対応

さて、話をガンバに戻す。エースストライカーのファンウィジョの代わりをどうするか問題とサイドバックの重要なプレーヤーである初瀬をアジア大会のため失い、更には藤春廣輝が怪我?による離脱のため、サイドバックが不足してしまった問題に直面したガンバ。この2つの問題にも対応をしなくてはならない。そこの解決策を宮本恒靖監督は示してくれた。

ファンウィジョの代わりをどうするか問題は、昨年からU23宮本恒靖監督、山口智コーチが手塩に掛けて育成してきた一美和成を抜擢。一美和成は前線からのプレス、ボールを収めるという点でこの1年半で急速に成長した選手。トップでの紅白戦でも良いパフォーマンスを見せていたようで、自信を持って宮本恒靖は先発起用したのだと思う。実際、FC東京の代表クラスの2CB相手にも臆せずチャレンジしてくれたし、U23で見せていた収める、預ける、ゴール前に顔を出す、守備の時は追いかけるをしっかりとこなしてくれていた。

サイドバックがいない問題は、菅沼駿哉をCBに配置、三浦弦太を清水時代に経験があることを利用してSBに配置した。三浦に攻め上がりは期待してなかったようだけど、SBとしてのタスクはしっかりとこなしてくれてた。しかし、フラフラとするディエゴオリベイラの対応には最初から最後まで苦労してしまった。シンプルにゴール前にいるわけでもなく、中盤に下りて空いたところに飛び出してくる富樫敬真大森晃太郎なんかの対応には苦慮していた。ボールの出所から抑えていきたいのだけれど、前線からのプレスが必要。そんなトレーニングする時間が無いし、暑さもあるので9月以降に解決の道を探ることになりそう。

 

ゲーム体力の意味を示した高宇洋

 

前節の試合後のコメントで『ゲーム体力』というキーワードが出てきた。たぶんこの試合でゲーム体力の意味を示してくれたのは高宇洋だった。確かに走行距離でもこの試合で1番だったんだけど、常にポジション取りが適切だったと思う。ふたつシーンをピックアップ。

 

1つ目は56分頃、FC東京のビルドアップ失敗のシーン。

比較的余裕を持ってボールを回してそうに見えたFC東京だが、サイドバックの選手に、ボールが渡ったあと、サイドバックの選手は縦にボールを入れるしか無くなっていた。

その要因となったのは高宇洋のポジション取りだったように見える。高宇洋が誰をマークしてるのか一見良く分からないのだけど、あの位置どりは高宇洋の位置どりでパスコースを2つくらい潰していたのだ。斜めのパスを入れたくても、高宇洋が気になってバスを出せないFC東京のSB。残された選択肢は空いたスペースへの放り込みだけだったのかもしれないというシーンを演出した立派なプレーだった。

今野泰幸井手口陽介のように猪突猛進にアプローチしてボールを奪い切るのはカッコいいし派手なプレーだけど、この日の高宇洋のように、位置どりで相手の選択肢を絞らせるプレーはバクチ的な守備では無い安定感をチームにもたらすので、もっと成長しながら継続してほしい。

もうひとつは、アデミウソンのゴールに繋げたアシスト。95分、一番しんどい時間帯。高江麗央と米倉恒貴がボールを前に運べるとわかった時に、全力疾走で駆け上がらなかったのがすごく効いたと思う。全力で行けば、米倉恒貴、高江麗央はアデミウソン小野瀬康介、高宇洋に向かってのクロスしか選択肢が無くなってたと思うけど、遅すぎず早すぎずのペースであのポジションに走り込んだからこその、高江麗央からの横パスを引き出せたし、アデミウソンへの斜めのスルーパスを出すコースも作り出すことができたと思う。

攻守において、高宇洋が適切な位置どりを続けたことが走行距離(移動距離)の数値にも、ゴールと勝利に繋がったのはとても貴重なことだ。こういうことができる選手を安定して輩出して行くことは極めて重要である。そのためには若い時からの仕込みが大切な気がするので、ユースやU23で継続的に育成できる環境はガンバにとっての財産だ。

ショッキングな敗戦の後で勝ち取った劇的な勝利がチームに与える影響はあるだろう。宮本恒靖監督就任後の4試合。短期間の準備期間で1勝2分1敗で5ポイントをなんとか積み上げたこと、それでいてチームのベースを積み上げつつあることはそれなりに好材料だと思う。とはいえ、残留争いの本番はここからである。高江麗央、高宇洋、一美和成への対策も練られてくるのだ。

G大阪、21節終了時点で勝ち点20。残り13試合で20ポイント獲得し、勝ち点40に行くためには

4勝8分1敗

5勝5分3敗

6勝2分5敗

7勝0分8敗

ざっとこんなペース。最低6勝しないといけない!そんなイメージでここからチーム作りと選手の足りないところの成長を促していって欲しいところ。

宮本恒靖監督に課せられたのはタフなミッションであるが、短期的に結果を残して行けば将来に繋がる気がするので全力で応援して参る所存であります。

G大阪vsFC東京の試合結果・データ(明治安田生命J1リーグ:2018年8月10日):Jリーグ.jp

ガンバ大阪 2018マッチレポート | 8月10日 vs FC東京 | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB

<ガンバ大阪>『宮本ガンバ』が初勝利。アディショナルタイムでFC東京を突き放す!(高村美砂) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

 

『プレー体力』≠スタミナ / 2018/08/05 vs名古屋

お疲れ様です。

 


敗戦のショックを翌日の表情にモロに出るほどそれなりに引きずる敗戦だった。

 


試合は前半、明確に狙ってたボールの奪い方がハマり、宮本恒靖が描くグランドデザインの中の核となるパターンの一つ、ハーフスペースにアデミウソンを配置し彼の得意技のフリックに約束事を作りながら周りが反応するという流れで得たPKで先制。オジェソク、遠藤、倉田、ウィジョの四角形でサイドを崩し、逆サイドのサイドハーフ藤本淳吾にフィニッシュのボールを送るという確実に仕込んで来た攻撃で追加点を奪うことができた。

 


後半大逆転を許してしまったことはかなりショックが大きい。そんな中、宮本恒靖監督は『ゲーム体力』という言葉を敗因の一つに挙げた。

 


たぶん、宮本監督が『ゲーム体力』に込めた意味は、90分間、適切な判断をし続け、適切なプレーをし続け、適切な位置どりをするために動き続けることなのではないかと思う。(もっと要素はあるかもしれない)

どれだけの走行距離を走ってもそれがゲームに影響を与える位置どりでなければ効果はない。

どれだけスプリントを仕掛けてもそれが適切な判断によるものでなければ無駄走りになる。

 


宮本監督が1年半かけて携わったチームは、まず適切な判断をし続ける習慣づけからはじめたと思う。今のトップチームもその段階である。

 


前半は適切な判断を、適切なプレー、適切な位置どりを取ることができていた。後半、相手に押し込まれた時の状態から抜け出すための手段があまりにも乏しかったことが反省材料。守備から攻撃に切り替わった時に適切な判断とプレーでボールを握り前進させることで自分たちの時間帯をもう一度つかみ返すことができるようになるが次のステップなのだろう。

 

 

 

正直なところ、宮本恒靖監督が就任した時に2~3週間はしんどいだろうと思っていた。先制できないとか何もできない試合が続く覚悟もしてたのだ。

ところが、鹿島相手に追いついて引き分けに持ち込んだり、劣勢を耐えながら先制点を奪う試合、相手の急所をつきながら複数得点取る試合が出来ている。勝ち点の積み上げは順調じゃないけど、チームの構築は比較的順調に思える。

チームの目指す姿は試合を通して見えてるし、試合の中での課題を短期間で修正しながら、それでも目指す姿から外れずに近づいているようには見える。詰まったケチャップがドバドバと出てくる時が早く来て欲しい。

 


だからこそ、ゲーム体力という言葉だったのだろう。適切な判断をし続け、適切なプレーをし続け、適切な位置どりをするために動き続ける。賢くプレーし続ける。

走る距離やスプリントを増やすスタミナが足りないと言えるのかもしれない。もちろん、90分走り抜くフィットネスは必要だ。押し込まれた時にあわあわしてしまうのはメンタルの弱さだとも言える。もちろん、慌てる状態ですぐに自分を客観視して冷静さを取り戻す強さは必要だ。しかし、その上で、スタミナもメンタルもどこか定義が曖昧な言葉でその日のコンディションで左右されてしまうものだと思う。それなら、何が適切なのかを定義し、明確な考え方や判断基準を統一しよう。今のガンバ大阪がしなくてはいけないことは短期間の結果をつかむことと未来に繋がる土台作りの両方なのだから。

 

名古屋vsG大阪の試合結果・データ(明治安田生命J1リーグ:2018年8月5日):Jリーグ.jp

試合詳細 | ガンバ大阪オフィシャルサイト

10個目の星へのリスタート / 2018/07/28 vs鹿島

お疲れ様です。

 


前回の投稿から時間が空いた。物事、癖って大切で、一度止まるとまた仕切り直すのに結構踏ん張らないといけないものです。

 


前回の投稿では、ただのサンドバッグと化したガンバ大阪トップチームの窮状を憂いていた。個人頼みの攻撃と守備、組織的なプレーは一切なく偶然に頼ったサッカーに終始していたガンバのトップチームはもう見るに耐えないと。

 


その後もいくつか試合はあった。一通り、全部見ていた。偶然の力で勝った試合も、大学生相手になす術なく完敗した試合もあった。勝っても負けても心から溢れ出るものは特になかった。ただ偶然に頼って結果待ち。良い結果でも『このままじゃ、未来はないな』悪い結果だと『そりゃそうだよね』と思うことの繰り返し。

 


未来のために負けて欲しいと思いながら、大切なクラブチームのホームゲームに足を運ぶのはただ苦行だった。

 


2018年7月23日月曜日の夕方。仕事中席を離れ、少し休もうとスマートフォンを手に取った。Twitterを開いたら、ガンバ大阪の監督が解任され、新たな監督として宮本恒靖が就任していた。

 


いつかこの報せが来るのだろうと、内心数ヶ月前から覚悟していた。それが正しい道なのだろうと理解もしていた。それでも、動揺した。

 


『前任監督への憎しみ』

『2ヶ月前に交代していれば、やれたことが沢山あってその時間を無駄にしたガンバ大阪の経営幹部、強化担当者への怒り』

『これからの未来が悪い結果になるかもしれないその時どうするんだという不安』

『これで、ガンバ大阪のことを改めて心の底から応援できるはずだという安堵』

 


これ以外にも色んな感情に溢れてたと思う。少し休んでまた仕切り直そうとオフィスに戻ったけど、もう手に付かなかったのでその日は早々に切り上げた気がする。それなりに動揺させる報せだった。

 

 

 

7月28日土曜日夕方。清々しい気持ちでパナソニックスタジアムに歩いていく喜びを味わった。

 


到着する頃には、監督、選手を乗せたバスを迎えるサポーターで溢れてた。

 


もう、あの日はそれだけで良かったのかもしれない。

 


ピッチでプレーするガンバの選手たちも、3日間で叩き込んだチームの規律をなんとか実践しようと全力なのが伝わってきた。攻守において数的不利が当たり前だったチームが、少しずつ変わって、数的優位の局面を作れるようになっていた。

短時間でチームを再構築して勝てるチームになれるかは分からないけど、とにかく応援しよう。そう思えただけで幸せだった。

 


宮本恒靖について、あれこれ語り出したらキリがないのだけど、

 


宮本恒靖がきっかけでサッカーを好きになった人

宮本恒靖がきっかけでガンバ大阪を好きになった人がたくさんいる。

そのおかげで本当に色んな出会いがあったことは想像に難くない。だから、今もガンバ大阪はサポーターがたくさんいる。

 


宮本恒靖ガンバ大阪ユースに入団し、

宮本恒靖ガンバ大阪でプロとなり、

年代別日本代表でキャプテンを務めたことがガンバ大阪にとってどれだけ後進に影響与え、切り開いた道は他のどのクラブも開いていない道な気がする。

 


宮本恒靖ガンバ大阪でプレーしていた若い頃を私は知らない。

きっと宮本恒靖は色んなことに耐えてきたと思う。

だから宮本恒靖ガンバ大阪でたくさんの心強い仲間と出会えたんだと思う。

松代直樹藤ヶ谷陽介實好礼忠山口智遠藤保仁二川孝広橋本英郎大黒将志...挙げ出したらきりがないけど、2005年の冬、等々力で宮本恒靖が流した涙は彼が切り拓いてきた色んなことのご褒美、一つ目の星だったのだと思う。あの涙が無かったら今のガンバ大阪はどうなってたのかわからない。

 


宮本恒靖ガンバ大阪を離れてから、彼は色んなことを学んで、色んな選択肢がある中から、ガンバ大阪に帰ってきてくれた。もしかしたら帰ってこない。いや、帰ってこないのがあたりまえかもしれなかったのに。

 


これから、12月上旬まで、ガンバ大阪宮本恒靖にとって一番タフな時間になるだろう。だからこそ、サポートしようと思う。2018年の試練を乗り越えたいと思う。そして、胸に光る10個目の星は宮本恒靖とともに勝ち取ったものだと言える日が来ることを心の底から願い、期待したい。

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ガンバ大阪に対して抱いているままならない感覚 / 2018/05/12 vs横浜FM

お疲れ様です。

ゴールデンウイーク期間中、私事がございまして、ブログの記録残しがおろそかになっておりました。ここから仕切り直してやっていこうと思います。

ブログの更新はしていなかったものの、試合はしっかりと追いかけていました。ゴールデンウイーク中のガンバはホームでは、なんだかよくわからないけど勝てるものの、アウェイでは術無くして敗戦という試合が続いている。勝ったり負けたりを繰り返しながら、チームが安定していけばと期待していたが、このアウェイ横浜Fマリノス戦で、いろんな期待もやめてしまおうかと思ってしまった。

今のガンバ大阪トップチームを見てて感じるのは、個の力と偶然に攻撃も守備も依存していることだ。

守備の時は各選手の判断でいるべきだろうところにいるだけ。クリティカルなところに侵入された時は遠藤保仁の先読みを活かした位置取りでのボール回収、マテウスのフィジカル、三浦、ファビオの潜在的な能力、藤春廣輝のスピード、オジェソクの獅子奮迅の働きでなんとか凌ぎ、シュートは東口順昭林瑞輝がなんとかストップする状態。

チームとして、相手チームをガンバが作る網に誘い込んだり、ビルドアップを封殺するためにプレスを仕掛けることもない。ただ、偶然に身をまかせるしかない。頼れるものは個の力。

攻撃も、選手がボールを持ったときに2~3回ボールを触って、やっと次の選択肢が見えてくる。ボールを持った瞬間に2~3の選択肢がある攻撃を仕込まれているチームが常識になりつつある現代サッカーの潮流から大きく逸脱している。とはいえ、ドリブルで運べる選手や、瞬間のコンビネーションで局面を打開することがなんとかできていたり、ファンウィジョのシュートスキルに救われてなんとか勝ち点を稼いでいる。攻撃の面でも頼れるものは個の力。

チームがトレーニングの中でプレーの原則を与えられない現状を憂い、日本人のコーチングスタッフは練習後に補完的にアドバイスを送り続けているという。昨年、宮本恒靖山口智が作ったU23チームと同じシステムだった横浜FM戦のトップチームは全くの別物。アグレッシブに個の力の弱さを補うべく勇敢に組織を作りチームで立ち向かった昨年のU23チーム。一方で、ただスタメンと配置だけを指示されピッチに送り出された横浜FM戦のトップチームは、90分間ひたすら横浜FMに為す術なき戦いを強いられた。高い技術からもたらされたロングシュートでしかゴールを割れず、カウンターの選択肢もなく、ただひたすらサンドバックのように横浜FMの攻撃を受け続ける姿は見るに耐えなかった。辛かった。

 

ペップ・グアルディオラは『ゴール前最後の30mはアタッカーがクオリティと創造性を発揮して解決すべき舞台だ、監督にできることはそこにクリーンにボールを送り込むことだ』とコメントしつつ、その一方で、1人のアタッカーに依存せず複数のソリューションを選手に与えているそうだ。

たしかに、スペシャルな個の力はゲームを決める。特にペナルティエリア内でのプレーの質は試合の結果に直結する。であれば、いかにしてペナルティエリアに筋道を立て侵入する回数を増やして行くか。また、ペナルティエリアに相手の攻撃選手を侵入させないように論理的に組み立てることがサッカーの戦術だと思う。この3ヶ月間でガンバ大阪トップチームはこの点において論理的な進歩を果たしたか。私はしていないと思う。バランスを作るとクルピは言うけど、バランスを作るための論理がいまだに見えてこない。個の力、偶然、カオスの中からの幸運に身を任せた中で、未来は切り拓けないだろう。

 

この横浜FM戦のトップチームの戦い方が、トップチーム、U23、ユース、Jr.ユース、ジュニア、スクールと続くガンバ大阪が目指している形なのだろうか。20年近く北摂に住んだり、ガンバ大阪を応援してきた中での私の印象では真逆だと思う。

ボールスキルをベースに、ボールを握り、相手ゴールに何度も何度も攻め立て、ボールを奪われたらすぐに奪い返しに行く姿こそ、ガンバ大阪に関わる人たちにとってのガンバ大阪のあるべき姿であり、目指し続けているものだと思う。そこから離れたことをするトップチームの監督を私は許していけないと思う。

ガンバ大阪は、宮本恒靖稲本潤一橋本英郎二川孝広新井場徹などを育成し早い段階でアカデミー出身選手をベースにしたチーム構築に成功したクラブだ。ガンバ大阪は大きなスポンサーの支えはあったが、行政に頼らずスタジアム建設の実現に漕ぎ着けたクラブだ。間違いなく、Jリーグの優等生的なクラブだったはずだ。それがどうしてこうなってしまったんだろう。今のガンバ大阪は見ている人たちに喜びや未来への希望を応援してくれている人たちに届けられているのだろうか。まずそこから見直してほしい。