GKにとってのセカンドチームの存在価値 / 2018/3/25 vsYSCC横浜

0-0。スコアレスドロー

この試合で両チームともに決定機を作りながら、ゴールが決まらなかったのはYS横浜G大阪U23のGKが活躍したからだ。ゴールを奪い合う派手な打ち合いも魅力的だけど、ギリギリのところをGKが防ぎ合う試合も楽しいし、そこ乗り越えてゴールを決めて勝つ試合はより美しい。

GKはあまりメディアでは扱われないけれど、試合をFW以上に決定付けることもあるので、重要なポジションである。

クラブチームのおいて、多くのチームは4人のGKを選手登録する。練習をうまく構築するためには、4人がちょうど良いなんて話も昔聞いたことがあるから、それなりに理由があるのだろう。しかし、試合に出場するのは1人。しかも、レギュラーのGKが決まると、入れ替えはケガなどのアクシデントが無いと基本的に行われない。レギュラーでない残りの3人は『次にいつ試合に出られるのかわからない』ではなく、『今シーズン、試合に出る可能性は極めて低い』という環境で毎日の練習に取り組まねばならない。
J3を含めて、レギュラーのGKは1クラブに1人なので50名ほど。100名以上のプロのGKは試合に出る可能性が極めて低い環境に置かれながら、日々の練習に取り組んでいる。

GKにとって、U23チームのあるクラブは希望なのかもしれない。もちろん、トップチームでの出場を願ってるだろうけど、『来週もしかしたら、公式戦に出場するチャンスがあるかもしれない。』『その試合の活躍で、自分の序列を変えられるかもしれない。』そんな希望を持ちながら日々のトレーニングに励めるのならGKにとっては幸せなのではと。

この試合、先述の通り、両チームのGKが活躍した。
ガンバの鈴木椋大は、今シーズン初出場。試合勘という意味では、ガンバに来てからほとんどない状態。(去年はACLに1試合のみのはず)
そんな中で、鈴木椋大は安定したハイボールの処理や決定機を阻止するセービングで自分の実力を証明して見せた。G大阪U23J3でのこれまでの試合はGKのミスによる失点が毎試合あり、それによってゲームが崩れかけたこともあった。しかし、いずれのは試合でもベンチに座っていた鈴木は、自らが活躍することで勝ち点0になる試合をGKの力で勝ち点1をもたらす活躍をした。

自分の力を示せる試合が来ないままプロキャリアを終えるGKがいる中で、公式戦の中でプレーをアピールできるのは、GKにとって幸せなことなのかもしれない。そんなことを今日の鈴木椋大のプレーから伝えられた気がする。

とはいえ、鈴木椋大、林瑞希、谷晃生が目指すのは日本代表GK東口順昭からポジションを奪い取ること。4人で切磋琢磨してチームを盛り上げて欲しい。

特に谷晃生。君がいる今の状況は若かりし日の川島永嗣に似ている。川島永嗣は自ら、レギュラーに当時の日本代表楢崎正剛のいる名古屋に乗り込み、本気でレギュラー獲得を目指した。実際に名古屋ではレギュラーポジションは奪えなかったが、川崎への移籍後の活躍は周知の通り。楢崎を抑え、ワールドカップで日本代表のレギュラーになって今の立ち位置を得ている。体格は今までの日本人GKの中でも恵まれている。しっかりとGKスキルを磨いて、目の前の大きな壁を頑張って乗り越えて欲しい。

 

 

YS横浜vsG大23の試合結果・データ(明治安田生命J3リーグ第4節:2018年3月25日):Jリーグ.jp

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