GKにとってのセカンドチームの存在価値 / 2018/3/25 vsYSCC横浜

0-0。スコアレスドロー

この試合で両チームともに決定機を作りながら、ゴールが決まらなかったのはYS横浜G大阪U23のGKが活躍したからだ。ゴールを奪い合う派手な打ち合いも魅力的だけど、ギリギリのところをGKが防ぎ合う試合も楽しいし、そこ乗り越えてゴールを決めて勝つ試合はより美しい。

GKはあまりメディアでは扱われないけれど、試合をFW以上に決定付けることもあるので、重要なポジションである。

クラブチームのおいて、多くのチームは4人のGKを選手登録する。練習をうまく構築するためには、4人がちょうど良いなんて話も昔聞いたことがあるから、それなりに理由があるのだろう。しかし、試合に出場するのは1人。しかも、レギュラーのGKが決まると、入れ替えはケガなどのアクシデントが無いと基本的に行われない。レギュラーでない残りの3人は『次にいつ試合に出られるのかわからない』ではなく、『今シーズン、試合に出る可能性は極めて低い』という環境で毎日の練習に取り組まねばならない。
J3を含めて、レギュラーのGKは1クラブに1人なので50名ほど。100名以上のプロのGKは試合に出る可能性が極めて低い環境に置かれながら、日々の練習に取り組んでいる。

GKにとって、U23チームのあるクラブは希望なのかもしれない。もちろん、トップチームでの出場を願ってるだろうけど、『来週もしかしたら、公式戦に出場するチャンスがあるかもしれない。』『その試合の活躍で、自分の序列を変えられるかもしれない。』そんな希望を持ちながら日々のトレーニングに励めるのならGKにとっては幸せなのではと。

この試合、先述の通り、両チームのGKが活躍した。
ガンバの鈴木椋大は、今シーズン初出場。試合勘という意味では、ガンバに来てからほとんどない状態。(去年はACLに1試合のみのはず)
そんな中で、鈴木椋大は安定したハイボールの処理や決定機を阻止するセービングで自分の実力を証明して見せた。G大阪U23J3でのこれまでの試合はGKのミスによる失点が毎試合あり、それによってゲームが崩れかけたこともあった。しかし、いずれのは試合でもベンチに座っていた鈴木は、自らが活躍することで勝ち点0になる試合をGKの力で勝ち点1をもたらす活躍をした。

自分の力を示せる試合が来ないままプロキャリアを終えるGKがいる中で、公式戦の中でプレーをアピールできるのは、GKにとって幸せなことなのかもしれない。そんなことを今日の鈴木椋大のプレーから伝えられた気がする。

とはいえ、鈴木椋大、林瑞希、谷晃生が目指すのは日本代表GK東口順昭からポジションを奪い取ること。4人で切磋琢磨してチームを盛り上げて欲しい。

特に谷晃生。君がいる今の状況は若かりし日の川島永嗣に似ている。川島永嗣は自ら、レギュラーに当時の日本代表楢崎正剛のいる名古屋に乗り込み、本気でレギュラー獲得を目指した。実際に名古屋ではレギュラーポジションは奪えなかったが、川崎への移籍後の活躍は周知の通り。楢崎を抑え、ワールドカップで日本代表のレギュラーになって今の立ち位置を得ている。体格は今までの日本人GKの中でも恵まれている。しっかりとGKスキルを磨いて、目の前の大きな壁を頑張って乗り越えて欲しい。

 

 

YS横浜vsG大23の試合結果・データ(明治安田生命J3リーグ第4節:2018年3月25日):Jリーグ.jp

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一か月のまとめ / 3/14vs浦和、3/17vs鹿児島、3/18vs柏、3/21vs秋田

お疲れ様です。過密日程の中ため、314日の浦和戦から321日までに行われた秋田戦までを一気におさらいしていきたいと思う。

 

浦和戦の直近のトップチームの試合は、アウェイでの川崎戦。その前の広島戦で惨敗し、応急処置的な形で試合に臨み、敗戦と、チームとしての構築に時間がかかっていることは否めない状況の中、U23チームがプレッシング+ポゼッションの形で戦っていくためのヒントを311日の盛岡戦で0-2を逆転し、勝ったことで示したというのが、今回の4試合までのガンバ大阪

 

314日のトップチーム浦和戦。前半開始の30秒で試合は決まっていたのかもという試合だった。チームとして、前から行くんだ、ボールを握っていくんだという気持ちが浦和戦の最初の30秒に起きたプレッシングからのシュートで示された。これは今後のガンバにとってターニングポイントになるかもしれないといえるくらい、大きいプレーになるかもしれないとその時思った。そんな勢いに乗って、CBのファビオから始まった一直線のカウンターで先制し、2点目も高い位置からボールを奪い、市丸瑞希素早く展開し、オジェソクから長沢駿へのドンピシャクロスでゴール、3点目は割愛して、4点目はルーキー中村敬斗が自らのポテンシャルを示す、槙野智章西川周作をぶち抜く70m独走ドリブルからのゴールというおまけつき。U23チームが3日前に示した「これが目指す形ですか?」という提案に、まだまだドタバタはしてるけど、トップチームが応えたような形になった試合だった。

 

317日の鹿児島戦。U23チームが土曜日に試合をし、日曜日にトップチームの試合が来るという日程により、メンバーがどうなるんだろうという試合。前回の盛岡戦はオーバーエイジ西野貴治菅沼駿哉泉澤仁U23だけどトップで主力になりそうな初瀬亮に助けられていた側面も少しあった。その影響があったからか、試合序盤で簡単なミスからの失点を重ねてしまい敗戦をしてしまった。昨年からの引き続く弱さが頼れる選手がいないと出てしまうのかはわからないが、そう取られても仕方ない試合だった。

 

318日の柏戦。浦和戦でいいイメージを掴めたので、強豪柏レイソルに思い切ってチャレンジができる試合。しかし、柏のボール回しに翻弄されたことで前半の早い時間帯で2失点と、大変厳しい試合に。立ち上がりの入り方の脆さ、ボールを動かしてくる対戦相手への対応など大きな守備の課題は継続したままという状態。しかしながら、2失点目直後にファンウィジョが決めた1点目は多くの選手が連携した形でとても良いゴール。このイメージは継続していこう。そして後半、ACLの香港アウェイから帰ってきたばかりの柏の足が止まったところ、試合最終盤に遠藤保仁がファンウィジョにつなぎ、ウィジョがゴールを奪い同点に追いついて試合終了。序盤に試合の入りを失敗しても、絶対に追いつくんだ逆転するんだというチームの意思が見えたところに昨年後半の停滞感から本格的に脱却できそうな予感を感じた試合。

 

321日の秋田戦。トップ、U23と試合の入りに失敗したことを受け、序盤に崩れないことをまず意識してはいった試合でした。その成果を功を奏した。福田湧矢のミドルシュートで先制。しかし、ビルドアップのミスからボールを失い失点してしまう。それでも、昨シーズンのJ3チャンピオンに対して、自信をもってボールを保持し、しっかりとゲームを進める姿はたくましくも感じた内容。そんなたくましささえ感じさせたチームは後半しっかりとゴールを奪い2-1の勝利。危ないシーンもあるけど、完勝といっても良い内容だったと思う。

 

トップチームについての一か月のまとめ。

開幕から4週間、リーグ戦は0勝1分3敗、4得点8失点と最下位、ルヴァン杯は1勝1敗、4得点5失点で2位。結果だけ見るとなかなか酷い状態。一方で、リーグ戦の対戦相手は昨年上位に食い込みACL出場している3チームとの対戦があったことは考慮すべき。これまでの6試合で重視すべきことは、

1)チームは理想としている形を明確に持っているか

2)目指す形に対して、毎試合ごとに課題を克服しチームつくりは前進し続けているか

以上の2つのポイントだと個人的には考えていた。この6試合のあとで、代表ウィークでトップチームに休みがあることはわかっていたので、そこで修正すれば良いのかもしれない。その点はある程度割り切ってクルピ監督は望んでいた可能性があるし。

 

個人的な感覚だけど、チームは確実に進歩をしていると思う。

 

攻撃について

 

ゴールを奪う形も少しずつ様になってきているし、実際に奪ったゴールも、複数人がアタッキングサードで連携して奪っているケースがほとんど。浦和戦の先制点のようなCBからの速攻もあれば、柏戦の2点目のようにじわりじわりとビルドアップして繋いで繋いで、押し込んで奪ったゴールもある。この点は高く評価していいと思う。しかしながら、完成度はもっと高められそうなのも事実、もっとチームの中で位置取りの約束事を明確にして、ボールホルダーが前向きの状態で23のパスコースとドリブル、シュートの選択肢を持てる状態で攻撃を進められるようになってほしいと思う。事実、U23のパス回しを見てるとボールホルダーに対してみんなが動いて23のパスコースを作り出せるようになってきているし、ドリブルで一人はがして一気に前進するなどの形も出しているからだ。トップの攻撃がこういうレベルまでなるのは時間がかかるけど、宮本恒靖コーチと連携してクルピ監督がかじ取りしてほしい。あとはセットプレーでのゴールパターンができてくると救われてくるだろう。

 

守備について

 

コンセプトは、前線でボールを奪ってボール保持をしたいというのがチームコンセプトなので、前線でボールを奪えそうな形を作れているかがポイント。成功していたのが浦和戦。ばっちりとみんなでほぼ2-4-4システムのような状態で連動しながら前線からプレッシングを仕掛け、ミスを誘い、押し込む時間帯を作れたと思う。しかし、前線で押し込み、高い位置でボールを奪えた時はいいのだけれども、最前線の網を破られると、三浦弦太とファビオがサイドに吊りだされてしまったり、マーキングのずれから一気に失点につながっていることも多い。また、柏戦のように連動してパスを回されると簡単にブロックが崩されてしまって混乱する形もある。普通のチームビルディングだと、まずはしっかり後ろで守れるようになることから始めるのだけど、今のガンバは完全に逆パターンなので、攻撃の形を作って安定させることが守備の安定につながりそうなので、攻撃の形をしっかりつ作り上げることを優先し、その中で我慢の仕方を身に着けていくことがこれからの課題。

 

リーグ戦を戦うにあたり、重要なことはシーズンを通して(最終節まで)チームが毎試合出てくる課題を克服し、成長し続けることだ。その中で個人の成長も促されてくる。そう考えると、荒れ果てた畑の状態だったガンバ大阪が4週間でとりあえずここまで来たのは、クルピ監督をはじめとしたコーチングスタッフの成果だと思う。一方で、勝ち点を積み上げながらチーム作りをしないと、しんどくなってくるのもリーグ戦。5月のワールドカップ中断までにある程度の勝ち点を積み上げることがとても重要。リーグ戦もルヴァン杯も関係なく全力で取り組んで、チーム作りを進めていってほしい。

絶望と恐怖の中から見出すヒント / 3/7vs広島・3/10vs川崎・3/11vs盛岡

お疲れ様です。前回の投稿から3/7にルヴァン杯ホーム広島戦、3/10にJ1リーグ戦アウェイ川崎戦、3/11にJ3ホーム盛岡戦がありました。ホームゲーム二試合はスタジアムで、アウェイの川崎戦は試合当日にDAZNで録画で確認させていただきました。そんな状態ですが、気が付いたことをメモしていきます。

さて、前回の投稿で、攻撃の局面
① ボールを保持し攻撃をしているとき」
② 「①の状態からボールを奪われた瞬間からの短い時間(攻撃から守備のトランジション)」
③ 「ボールを保持され守備をしているとき」
④ 「③の状態からボール奪い、②の攻撃の時間に転じる短い時間(守備から攻撃のトランジション
という局面があって、②、④の局面(いわゆる攻守の切り替え)の質の差で鹿島に負けてしまった。さらにいうと、①と③も整備されていないというメモをした。なので、今週の課題は②④の質を上げる作業をするのか、①と③のどれかに手を付けるのかというのがトップチームのテーマ。

クルピ監督は、現在はチームを構築している段階である。だから、どんどん試合をこなしてチームを構築していこうと考えています。ところが、トップチームは3/7の広島戦で0-4で大敗してしまった。

原因は鹿島戦でなんとかごまかしていた構造構築ができていないところをズバズバと広島に攻略されてしまったことだろう。今のガンバは「前線からプレスをかけて、奪われてもすぐに回収して、ボールを保持する戦い」をすることを目指している。攻撃する時間を長くし、奪われたとしてもすぐにボールを回収し、またボールを保持したい。こういうチームを構築しようとチーム作りをすると、どこかで大敗する試合が出る。西野監督のもとで戦っていたガンバ大阪も年に何回か大敗する試合がありました。前線に人数をかけて攻撃して、ボールを失ってカウンターを何回もされてしまうやつ。先ほど、4つの局面のどれも整備されていないと書いたが、今の段階で広島戦のような惨劇は起こるべきして起こったと思う。
若いボランチ、市丸瑞希と福田湧矢はパニックに陥っていたし、彼らをサポートすべきベテラン選手もどうしたもんかという状態で前半が終わってしまった。後半、宮本恒靖コーチたちからアドバイスを受けた矢島慎也がトップ下に入り、なんとなく攻撃のリズム的なものが生まれようとしたが長続きはせず、試合が終わってしまった。

ということで、中二日の川崎戦が訪れる。応急処置をするしかない。そこでクルピ監督が選んだ応急処置は「守備のブロックを構築してダメージを払しょくしよう。チームとして我慢する方法を作ろう。ボールを保持されている時間の守備の時間の過ごし方を覚えよう」だったように見える。本来の目指す形とは真逆の「4-4のブロック」を作ってカウンターを狙う形。この形は一昨年までしていた形。とにかく、前から追いかけるのは最小限にし、しっかりとスペースを埋めて、少ないチャンスを狙う試合に持ち込もうとした。そんな試合を狙ったんじゃないか。
序盤、セットプレーで失点してしまったことで、ゲームは川崎優位に動いた。それでも、ガンバはテーマを貫こうとしたように見えた。正直つまらないけど、幸い対戦相手がブロックを崩してチャンスを作りまくるチームである川崎。公式戦をテストとして使うことはどうかと思うが、まだシーズン序盤。理想はあるが、川崎のような相手にはこういう形を試すのは絶好の機会のようである。まずは最低限の失点にしようとした。その結果、つたないブロックで、被シュートもたくさんあったけど、ブロックを崩されての失点はしなかった。2つ目の失点は高い位置でボールを失って、守備から攻撃のトランジションが機能せず許したカウンターからだった。そういう意味では何か成果をもぎとった。そんな試合だったと思う。

目指す形(プレスとポゼッション)とは真逆の試合をせざるを得なかった。でも、次につながるヒントはあったと思う。我慢していた時間帯でも、61分頃にファビオがボールを回収、遠藤、藤春、泉澤とボールを経由をして奪ったCKの形や、鹿島戦の中村敬斗のポストに当たったシュートのように我慢の守備からシュートにつないでいく形も頑張れば作れるなという感触もある。
川崎戦には70分ころに中村がシュートチャンスに持ち込んだ形があった。東口がキャッチをしてから始めたビルドアップをシュートに近いところまで持ち込んだ形だ。遠藤、アデミウソン、米倉、中村が連携して攻撃の形をアタッキングサードで作って泥臭くシュートチャンスまで持ち込めた。
こういうのを意図して作って、繰り返していこうっていうのがこれからの目標になりそう。そしたら、攻撃から守備の準備もうまくいくようになるはずだから。

そんな状態のトップチームのケツをたたくかの如く、J3の試合は昨年からの継続が実を結びとてもいい試合をした。試合開始直後にミスで2失点と、最悪な立ち上がりだったが、立ち直った選手たちは適切な位置取りをし、しっかりとボールを循環させてビルドアップをし、ボールを奪われてもすぐに奪い返すことができた。さらにはゴールを3つ奪うこともできて大逆転勝利。見ていてストレスがなかった。前半から、そのうち点は取れそうだし、何とかなりそうという雰囲気があった。昨年のU23の苦労は大きな実りをもたらしてくれそうだ。

トップチームが目指す形も宮本恒靖が、1年かけて仕込んだ若者たちが盛岡戦で実践した形なのだろう。幸い、今年はクルピさんと宮本恒靖のチームは分離していない。練習場でもともに過ごす時間は長く、スタッフルームで話し合うことも多いだろう。公式戦の絶望的な結果は辛い、苦しい、降格の恐怖もちらつく。だけど、この3試合で未来へのヒントも落ちていた気もするから、クルピさんと恒さん2人を中心にして未来のガンバの形を示してほしい。そんな思いに至った3試合だった。

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「トランジション」とは何か? ウルティモ・ウオモ戦術用語辞典#3 | footballista

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勝負を分けたトランジションの質 2018/03/03 vs鹿島@カシマ

お疲れ様です。早速ですが、この試合も先週とは違い、お仕事でライブタイムで観戦できず、試合当日にNHKで放送されていた映像で試合を確認させていただきました。

対戦相手の鹿島アントラーズは言わずもがな、昨年2位の優勝争いに確実に絡んでくるチームですが、来週のACLに向けてレオシルバなど一部の主力選手はお休みという状況。戦い方についてはいつも通りの4-4-2からオーソドックスな戦い方をするチーム。

さて、先週の試合で、攻撃の形を作りつつも名古屋に負けてしまったことで、アウェイとはいえ確実に勝ち点を手にしたいガンバ。先週の課題は、3失点してしまった守備の修正、ボールポゼッションの時間を増やすといったところ。そんな課題を修正できたかを確認しながら、試合を振り返る。

結論から言うと、守備の修正は三浦・ファビオでベースを固めつつ、ボランチに入った市丸、矢島が走り回り、遠藤が適切なポジショニングで危機察知をすることで、1失点に抑えることができた。ボールポゼッションについては、鹿島がそもそもボールポゼッションにこだわらなかったことにより、ある程度ガンバがボールを握る時間帯が増えるという形に。課題については対戦相手の違いなどから改善もしくは変化あり。

攻撃の形について気が付いたこと。
前半序盤、ガンバはい裏抜けを狙っていく前節から狙っている形でのボール前進、例えば、三浦とファビオが右サイドのオープンスペースにボールを蹴り、ウィジョがボールを保持する間に右SBの米倉が駆け上がる懐かしのパトリックパターンをやりながら前に進むなど、右サイドからの攻撃を繰り出したり、前半5分にはそんな形から倉田のシュートも生まれた。コーナーキックの数が鹿島を上回ったのは、サイドの奥深くまでボールを運ぶことができていた証左だと思います。この形はサイドにウィジョや倉田がいるときは効きそう。
この試合のガンバにとっての最大のチャンスは後半20分の中村敬斗のシュート。三浦弦太インターセプトから始まった一連のビルドアップはとても美しく、この形がドバドバ出てきたら最高。シュート数は名古屋戦より減ったのは課題。鹿島の守備をもっと崩してシュートまで運べるように構築をしていければ本当の攻撃力復活。

守備について気が付いたこと。
センターバックの三浦・ファビオは全体的に安定していたけれども、その他の選手の位置関係からか、本来いるべきポジションからつり出されるシーンがたくさんあった。10分くらいの鹿島のシュートチャンスについていえば、三浦・ファビオが二人とも吊りだされるという大変危険な形を作っており、まだまだ守備については形が構築できていないことがうかがえる。

 

試合を左右した「トランジション

 

ガンバはこの試合に負けた。鹿島と何が違ったかを考えると「トランジション」の時のプレーの正確性に帰結しそう。サッカーには4つの局面があるといわれる。
① ボールを保持し攻撃をしているとき」
② 「①の状態からボールを奪われた瞬間からの短い時間(攻撃から守備のトランジション)」
③ 「ボールを保持され守備をしているとき」
④ 「③の状態からボール奪い、②の攻撃の時間に転じる短い時間(守備から攻撃のトランジション
このうち、3/3の鹿島戦のガンバは④の守備の状態から攻撃に転じる短い時間のプレーの質が低く、意思疎通もできていなかった。失点シーンにつながったファビオから藤春へのパスミスのシーンも④の局面で起こった現象である。あの瞬間は、ボールを保持したファビオが攻撃に転じるための選択として藤春がボールを受けるべきポジションへ送ったパスに対し、藤春はファビオの意図と反し攻撃に転じるための準備の動き(パスをもらう動き)をしていなかった。チームコンセプトは後ろからしっかりとボールをつないでゴールまでボールを運ぶことだ。チームコンセプトの上ではファビオのプレー選択が正しく、藤春の行動はチームコンセプトに反していた。失点に直結したこのシーン以外にも攻撃に転じる最初の段階のプレーでのミスが多く、ビルドアップの失敗(ボールロスト)が自陣後方、守るゴールの近くでいくつか発生していた。一方で鹿島は、攻撃に転じるのがスムーズだったと思う。ボールを奪えばシンプルに確実に早い攻撃にもっていく。この差がこの試合の結果につながった。なので、ガンバの次の課題は②④をスムーズにすることだけど、その前に①と③もまだまだ完成度が低いので、どちらから手を付けていくのかは来週以降見ていこうかなと思う。

気になった選手たち。
東口:前節で1対1の対応からの失点をしたが、その点についてしっかりと修正。
米倉:久しぶりの試合出場でもチームコンセプトに合わせた好プレーが多かった
市丸:守備から攻撃のトランジションでのミスもあったが決定機になりそうなパス多数。
遠藤:一番危険なところにいてくれるありがたい大先生。偉大。
長沢:背負うポストプレーは不安定ながら、ワンタッチプレーは適切なポジショニング故に安定、中村敬斗のビッグチャンスは彼の特徴そのもの。交代後の攻撃停滞もかれの存在の重要性を感じた
中村:あのシュートを決めればスターだった。1トップでのプレーは不安定。

課題はまだまだあるけれど、期待を持てる試合内容だった。2014年の序盤に感じたあともう一歩で強くなれるぞっていうじれったさを感じられるのは幸せなことだ。水曜日のルヴァン杯はスタジアムに行く予定。お仕事をうまく終わらせるように勤め上げるのが水曜日までの私の課題である。

 参考になりそうな記事

 

 

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1週間の進歩と新しい可能性  /  2/24 J1第1節 vs名古屋@Panasonic Stadium Suita

お疲れ様です。私用により第一節のホーム名古屋戦は翌日にDAZNでフルマッチを観戦。現場にいなければわからないことも多いとは思っているのですが、映像を通して感じたことをいくつかまとめていく。

このゲームのポイントは、
① 徳島との練習試合でダメだったところをどう修正したのか
② 課題に対して、ルーキーの福田湧矢を思い切って抜擢、功を奏するのかどうか。
こんなところだったと思います。

対戦相手の名古屋は風間監督のもとヤッヒー理論に基づいた技術を高めてボールを握るサッカーをします。さらにはブラジルからセレソン級のCFジョーとMFガブリエルシャビエルをそろえる、戦力的には川崎の時よりすごいんじゃないかという相手。昨年から風間体制を継続しており、日本人のベースプラス強力助っ人外国人という、Jリーグ優勝パターンの戦力とチームとしての準備を整えております。

ポイント①に挙げた先週の徳島との練習試合との比較ですが、確実にチームとして進歩をしたと判断しています。
原因として考えられることは、
遠藤保仁をトップ下(ないしは2トップ)にしてボールの配球役ではなく受け手としての役割を徹底させたこと。
② 攻撃のルールを明確にしたこと(ウィジョ・遠藤・倉田の裏抜け徹底)
なのかなと思います。

【①について】
について、遠藤は試合後のコメントで若いダブルボランチをヘルプするのが役割だと話していましたが、おそらく遠藤がいうサポートとは、配球役となった市丸、福田が顔を上げた時に必ず遠藤さんが見えるところにいるようにすることだと思う。Daznの解説を担当した戸田和幸さんも再三再四、遠藤のポジショニングについては言及していたが、とにかく遠藤が常にいいポジションを取っていた。常に貰い手に遠藤が徹したことによって、ボールの循環もよくなったし、遠藤のゴールとなったシュートや、フリーで放ったヘディングシュートのようにシュートも打てるのだから、遠藤の役割明確化と徹底によってガンバの攻撃はよくなったと思う。

【②について】
三浦、ファビオ、市丸と後方からボールを蹴れる選手が揃っているので、彼ら3人がボールを持ったら裏に抜ける動きを前線の選手が必ずすること、そこにサイドバックが絡むことというのは徹底されていた。サイドから崩してのシュートシーンやウィジョの多くのシュートシーンは、名古屋のディフェンスラインとの駆け引きを繰り返しながら得たチャンスなので、約束事の徹底がチャンスシーンに大きく影響していると感じた。

ポイント②にあげた福田涌矢の抜擢について。正直、数日前の報道から濃厚だとは聞いていたけど本当にやるのは監督しての度胸も凄いぞクルピさん!という印象。DAZNの実況の中で、先週の練習試合をみて、「芝本にするか福田にするか、対人の強さで福田を選んだ」というお話もあったけど、本当にクルピさんは選手をフェアにみているのだと思う。経験に基づいて、できると判断して若手選手をピッチに送り出しているし、役割も明確にしているのだろう、さらに周りの倉田・遠藤などベテランがいるのだから安心してピッチに送り出せる。いい循環ができるかもしれない。いい感じだと思う。福田は本当に普通にプレーしていた。その状況を作り出したクルピさんたちの準備も素晴らしいと思う。

【気になったことたち】
①攻撃でいい仕事をした市丸だけど、守備で前に飛び出す傾向があることとそれを許したチームの約束事の少なさ。

前半22分から23分にかけての名古屋のビルドアップ成功を促したのは市丸が持ち場を離れて前線にプレスをかけたことに起因しているように見えた。チームの約束事として、前からプレスをかけるというのは見えたけど、誰が行くのかというところがまだまだ約束事が未徹底のように見えた。
市丸が一人でボール奪取できるパワーとスキルを持てるくらい伸びてくれば最高だけど、これは時間がかかりそう。

②新しいチームの形に順応できていない藤春

1失点目のマーキングのミス、3失点目でディフェンスラインを崩していたことなど、失点につながる致命的なミスと、攻撃でもインナーラップなのか一番外側のレーンを走るのか曖昧なシーンが多く、「悪い時の」藤春が完全に出てしまっていた。チームの約束事の中に、彼の特徴を組み込んでいくタイプの選手だと思うので、チーム成熟とともにプレーははっきりしてくるのかもしれないけど、すこし新しいチームの形になじめていないのが気になった。


まとめ

失点の仕方が、チーム連携に起因している気がした。守備の約束事がまだまだ足りないので、試合を重ねながら修正をしていかないとマジでやばいけど、去年にはなかった攻撃の形とか明確なビルドアップ、長沢が孤立せずパス回しにうまく入って本来持ってるボールスキルを発揮するなど、ポジティブな要素もある試合というところでしょうか。いい攻撃で終われれば、変なカウンターを食らうことも減って守備も改善するかもしれないし。本当にシュートまでの運び方(ビルドアップ)は先週から確実に前進したので、翌週の鹿島戦に期待です。

来週はお仕事のため、またしてもdaznでディレイ観戦の予定です。

参考になりそうなデータと記事一覧

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2018/02/17 TM vs徳島  完成度の差とこれからの伸びしろ。

 

お疲れ様です。

公開練習試合となった2/17徳島ヴォルティス戦を見学に行きました。気になったこと。気が付いたことを書いていこうと思います。

 

さて、フォーメーションはこちら。

 

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4-3-2-1を試しているという報道もありましたが、

今日は4-2-3-1。今野がいないことが原因な気がする。

 

高い位置からプレッシングをかけるときは

サイドハーフの倉田・ウィジョが高い位置を取り4-2-4に変形。

深い位置からのビルドアップ実行時は、

センターバックの三浦・ファビオがペナルティエリアの幅に広がり、

サイドバックのジェソク・藤春が高い位置を取る形でビルドアップを試みる。

 

守備で気になったことは、

 

徳島がハーフスペースや4-4-2の隙間に人を置いてパス回しをしてくることにより、

発生してしまうギャップを使われてしまうこと。

これはシステムの噛み合わせの問題もあるので、シチュエーションに応じてどうたたくのかを作っていくことをしっかりすれば、改善されると思う。ていうか、徳島のチーム構築すごい。人の配置・ポジショニングで確実にビルドアップしてくる。チームとしてしっかりと仕込まれている。これがガンバの目指すところという感じ。こういうチームと試合できて今日はよかったと思う。

 

高い位置のプレスの時の4-2-4で最前線の4を抜かれたときの対応。

2人で横幅を守り切ることは厳しいので、もう少し工夫・約束事が必要なのかな。

最前線の4を破った時の徳島の選手たちのランニングもしっかりとされており、後半はずっと翻弄されてしまった。

 

攻撃で気が付いたこと。

 

①ボールを奪ったらまずは早く!

 

ビルドアップでゆっくりパスを回して仕留めるのは美しい。

だけど、ボールを奪ったらすぐにゴールを目指せるなら

早く前に進めることがセオリーだ。この辺は徹底されていると思う。

 

②深い位置からのビルドアップは本当にゼロからビルドアップ中。

 

パス回しの時に、どうしてもまだまだ選手の間で意思疎通が取れていないことが数多く見られた。失点シーンも二つとも深い位置からのビルドアップを試みたところ、センターバックボランチのあたりでボールを奪われたことに起因。

 

受け手がいるはずの所にパス受け手の選手がいなくてパスが出せなかったり、受け手がいるはずとパスを出したらそこにうまく選手が来てなかったりというイメージ。

 

これに関しては、失敗を繰り返しながら少しずつ進歩していくことをじっくりと応援していくしかない。

川崎フロンターレも往年のガンバも1か月でボールを握るサッカーを構築したんじゃなくて、時間をかけて作っていったもの。

 

理由のある失敗、チャレンジの失敗の先に成功はあるし、

今日だっていくつかかみ合ったビルドアップでいいところまで行ったシーンもあった。

 

そもそも、ボールを握ることを最初から放棄をするチームもあるのだから、これから少しずつ成長していく過程を楽しんでいこうというのが今日の雑感です。

徳島さん今の段階で出来上がっているので、完成度の差で完敗です。だけど、今日、金メダルを取った羽生結弦選手はこの前の月曜日、空港で「僕がこれから本番まで一番伸びしろがある」って言ってたじゃないか。これからの開幕そして12月までの伸びしろはガンバにきっとあるはず。

 

 

個々の選手で気になったこと

 

東口順昭パスミス起因の失点はあったけど、シュートストップは流石。

三浦弦太とファビオ:やっぱり二人でセットだと迫力あって止められる。

ジェソク:ビルドアップに慣れようと頑張ってた。

遠藤保仁:やっぱり気が利く人だ。総力のなさをチームで補う必要は明確だけど・・・

中村敬斗、ワンプレーで見ている人を引き付ける魅力のある選手。

 

こんなペースでこれから少しずつブログをメモ代わりに使っていこうと思いますので、

よろしくお願いします。

 

2/3 練習見学 みんな元気だった。

2/3(土)ガンバ大阪トップチームの練習の見学。

クルピ監督就任後、初めてPanasonic Stadium Suitaの隣の第一練習場での公開練習。スケジュールの発表は前日と急ではあったけど、どんな練習をするのか気になっていたので、見学に行った。

1月31日まで、オフなしでの10日間の一次キャンプと明日からの練習試合が多数組まれている二次キャンプの間ということもあり、コンディション調整がメインと感じられる練習内容。なお、Jリーグ新人研修のため、ルーキーたちは不在。それ以外は全員出席かと思われる。

ざっくり分けると、3人組でのパス交換とミニゲームという構成。

3人組のでのパス交換は1時間弱。
最初はウォーキングをしながらのパス交換。動きの速度を徐々に上げていき、最終的にはスプリントも入ってくるような強度にあげていく。キックの種類やボールコントロールの順番などもチャンヨプフィジコが工夫をしながら指示をしていたのが印象的だ。

昨年も一度、チャンヨプコーチが担当する練習を見学したが、ただ単純にフィジカルフィジカルしている印象はなくて、ボールを使いながら各自の技術も体力も上がるように仕込まれていると素人目にもわかるので、フィジカル練習だけど見学してて楽しい。昨年までのトップチームでのフィジカルやアップの練習は見学してても本当に何も面白みがなかったので刺激的である。

ボールコントロールの技術なんかはこういうところでも技術の差が出たりするので面白い。やっぱり、アデミウソン矢島慎也遠藤保仁はボールコントロールをさりげなくきっちりとしている。

パス交換の後はミニゲームを30分ほど。見学できるところからは遠いところで行われていたので、ミニゲームをやっていることしかわからなかった。ビブスの色は6つほどに分かれていたけど、どういう構成なのかは判別できなかったので、どういう意図が練習にあったのかは読み取ることができなかった。

さて、明日からは「2日練習して対外練習試合」というサイクルを繰り返すキャンプになる。M(Match)-T(TRAINING)-M(Match)のサイクルが本格始動だろう。今日の練習見学からは、チームの中の序列はうかがえなかったけど、2/24の開幕戦までにどんな準備が行われるのか楽しみだ。

練習で気づいた小ネタ。

クルピ監督ーガンジーさんー宮本コーチ(以下恒さん)が最初の3人組のパス交換のトレーニング中、ずっと話をしていた。マテルコーチはこの輪に一切入っていなかったことが気になった。

藤本淳吾アデミウソン
藤本淳吾は最初の3人組のパス交換の練習はフルにこなした。ミニゲームはグリッドの外でフリーマンとして参加。
アデミウソンは完全にフルメニューをこなしていた。
この2人は大きなケガをしていたので、彼らがこれだけの状態に戻ってきているのはとてもポジティブなことだと思う。新人研修でルーキーたちはいなかったが、チーム全体けが人なくここまでこられているのは素晴らしいこと。


ということで、今日の練習見学の記録は以上。練習後はファンサービスでサインをもらったりした。疲れている中対応してくれる選手たちには頭が上がらないな~こういうところで選手に前向きになってもらえるような声はサポーターからかけてあげていいと思うので、公開練習増やしてほしい。やっぱ練習見学は楽しいしなんか明るい気持ちになる。仕事・私事のスケジュールがつく限り行ってみよう。