いつも通りの高江麗央がそこにいた / 2018/04/21 vsC大阪

お疲れ様です。

先週末のリーグ戦、長崎にアウェイで敗れたことで、クルピ監督の解任デスマッチを兼ねてそうな大阪ダービーを迎えたガンバ大阪

ゲームの内容も良かったり悪かったりと安定せず、クルピ監督も戦術的に形をハッキリさせて来ないため、クルピ監督への信用が落ちており、とても不安な状態である。

長崎戦からの大きな変化は遠藤保仁をトップ下に配置し、ボランチに高江麗央を起用したこと、そして怪我から復帰した藤春廣輝の先発出場。

開始早々、守備のバランスを失い、セレッソにシュートを放たれたところから試合ははじまります。人は揃っているけど、本来いるべき選手とは別の選手がいる状態。山口智コーチとディフェンスの選手が行ったミーティングとは何だったんだろうといきなり不安になる立ち上がり。
しかし、試合が進むにつれて、守備を安定させるための策が見えてきた。

おそらく、長崎戦の後で行った守備の対策は、サイドバックの位置取りを今までより下げることだったと思う。これまでは、前から奪う意識が強く、2-4-4のような形で守るため、CBの三浦弦太とファビオがサイドにできたスペースをカバーしないといけないという現象が度々発生していたが、この試合ではそういうシーンがグッと減った。
そして、もしCBがサイドのフォローに回った時にそのポジションを埋める役割を果たしてたのがボランチに入った高江麗央だった。

この試合のMOMを選べと問われれば、私は高江麗央を選ぶ。守備面では適切な位置取りを軸に、ボール回収に貢献し、的確にボールを散らす。また、カウンターに転じた時の守備から攻撃のトランジションも瞬間的に行い、左サイドのタッチライン際までスプリントしボールの収まり所を作って、攻撃の時間作りもしていた。

高江麗央がボランチのポジションを始めたのは3月のJ3リーグから。昨年からU23でプレーする彼を見ていて高江麗央は大外のレーンで生きる選手だと思ってたので、高江麗央のボランチ起用には驚いた。しかし、J3開幕試合で高江麗央と高宇洋が見せた適切なプレーの数々は本当に素晴らしく、それからの数試合『ヤンレオ』を軸にしたU23チームのホームゲームは観ていて『うんうん。そうそう。それだそれだ!!』という納得のプレーの連続だった。今、U23チームが実践している適切な位置取りをベースにした攻守に連動したサッカーの軸になっていたのは間違いなく、ヤン(高宇洋)とレオ(高江麗央)だった。

大阪ダービーで高江麗央がやっていたプレーは、彼がU23でやっていたことをそのままだった。前述した、SBの上がっていたところの穴埋めやCBのカバー、適切な位置取りを軸にした無理のないボール回収、大きなチェンジサイドや細かいパスでの展開、カウンターに転じた時の適切なランニング。全部、いつも通りの高江麗央だった。いつも通りの高江麗央がどういうことかというと、前半37分頃からPK獲得までの過程にいつも通りの高江麗央が凝縮されているので、DAZNで確認できる方は是非ご確認を。

細かく動いて、セレッソの攻撃を遅らせる守備での駆け引き、ヤットがダイレクトでパス出せるように菱形を作って受けて逆サイドへの展開、奪われた後の素早い攻守の切り替えからのボール奪取と倉田にパスしてそのままペナルティエリアへの走り込みという流れです。

とはいえ、高江麗央がこの試合ノーミスだったわけじゃなく、倉田秋藤春廣輝との意思疎通がうまくいかなったこともあった(どちらかというと、倉田秋藤春廣輝が高江麗央の意図を理解するべきなのだが)し、一対一でやられるシーンもあった。しかし、プロ2年目、ボランチにチャレンジして2ヶ月目の若手選手のJ1デビューとしては最高なプレーだった。伸びしろがまだまだあるんだと考えただけでワクワクしてきた。

クルピ監督のガンバ大阪大阪ダービーに勝った。試合終了後のクルピ監督を中心とした歓喜の輪には、クルピ監督への選手たちの信頼も見えた。チームがバラバラになっていないことも分かった。
しかし、まだガンバ大阪のトップチームが2018シーズンのJ1リーグを安定して戦うためのチームとしての土台はまだまだ作っている途中だというのは、大阪ダービーからも感じ取れる。今回の勝利も高江麗央の起用というキャスティングの効果で得た勝利という側面も強く、チームとしての連携や戦術で勝ち取ったとは到底言えない。クルピ監督、宮本恒靖コーチ、山口智コーチで早期にチームの安定化を図り、誰が出ても安心できるチーム作りをして欲しい。しばらくは勝ったり負けたりを繰り返すだろうけど、とにかく早く残留のために必要な勝ち点を積み上げていきたい。そんなワールドカップ中断までの残り4週間が始まった。

G大阪vsC大阪のマッチレポート・動画(明治安田生命J1リーグ:2018年4月21日):Jリーグ.jp

ガンバ大阪 2018マッチレポート | 4月21日 vs C大阪 | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB

<ガンバ大阪>気迫をみなぎらせた今季初の大阪ダービーは、完封勝利。(高村美砂) - 個人 - Yahoo!ニュース

【ライターコラムfromG大阪】チャンスに応えた髙江麗央…ボランチ抜擢の影に“あの男”の決断あり | サッカーキング

 

長崎の街で感じたこと 夢を描きガンバは前進出来るのか / 2018/04/14 vs長崎

ガンバ大阪と日本代表のサッカーを見ている1人のファン、サポーターとして長崎に行って思ったことをツラツラと書いていきます。
試合については、選手の疲労、天候はもちろん、戦術的な面でも攻守における組織力に劣り、大敗でした。何も収穫なく、危機感を煽られるだけの苦しい試合でした。


今のガンバ大阪の苦しいところって、どうなりたいか理想は明確になってるけれど、その理想に近づくための段取りに苦労してることだと思う。

サッカークラブを運営する会社として、
念願だった国内最高峰のスタジアムの建設が完成した。
U23カテゴリーもスタートさせて、将来性のある選手も比較的集まりやすい環境になった。
アカデミーの選手にもサッカーに集中してもらえる環境が整い始めた。
もうこの辺については、本当にしっかりしてると思うし、文句のつけようがない。

選手を育成するとか、経営をしていくための幹となるインフラ周りの整備は完成してきてる。じゃあ、次のステップはトップチームが技術、戦術的に日本を代表し、世界に挑めるような状態を維持することだ。
それなのに、一番肝心なトップチームの強化がイマイチうまく行ってないってすごくダサい。

青臭いけど、『夢』って、やっぱり1番の原動力になるもんなんだと思ったのが長崎に行って肌で感じたこと。

長崎市内の観光地、グラバー園軍艦島に行った。この2つ共通することって、明治維新から戦後の復興までの間に、新しい日本の形を作るんだっていう夢とか志を強烈に持った人たちが残した遺産なんだなって思った。
明治維新を進めるため鎖国により完全にガラパゴス化していた日本を守り、世界に追いつくためにはエネルギーとなる石炭と造船の技術が必要だった。その時に必要なものは鉄鉱石や石炭、そして工場。石炭は軍艦島から掘り出された。懸命になって労働者の人たちが毎日地下1,000mの炭坑に潜ってエネルギーとなる石炭を明治維新の頃から戦後の復興までの間に掘り続けてくれたことを遺してくれているのが軍艦島
船の工場は長崎にある。鉄鉱石を輸入に適した地理的環境、石炭を九州で採掘できることとか色々関係してるのだろう。日本の造船技術の発展貢献してくれたのがグラバーさんだったそうだ。彼が住んでいた住まい、また技術発展に尽力してくれた外国人の住まいを集め、当時の面影を伝えてくれたのがグラバー園だった。

何がものごとを新しくしようとか、改善しようとか、1番になろうってなった時に、くさいけど一番大切なことって夢をみんなで描くことだなって、仕事してたりしながらでも最近思う。

ガンバ大阪なら、日本から世界一を目指すチームになるとか、その為にアジアナンバーワンを常に争い続けるとか、その大前提として、日本の中で揺るぎないビッグクラブであり続けるということなのかなと。今、抱えてるインフラなら目指してもいいと思う。

だけど、日本サッカー全体を取り巻く停滞感も否めないと思う。戦術的な進化、選手の個々のスキルの進化がヨーロッパでどんどん進んで、日本サッカー全体が取り残されてるのもあって、どこか、大人たちが諦めモードになってしまっているのも否めないと思う。

だけど、若くて志のある若い人たちの夢とか憧れを大人の諦めで潰してしまってはいけない。むしろ逆で、大人が夢の設定をしてあげて、大人たちが若者の夢とか憧れを叶えてあげる為に、最先端の技術だったり戦術を勉強してきたり、そのためのコネクションが必要であれば海外行って人脈作って良い人材を呼んできたり、お金が必要だったらスポンサー探してきたりとかして、選手の夢の実現だったり応援してる人の期待に応えて欲しい。

野心を持ち、本気で世界標準を目指してる若き指導者も、世界に羽ばたこうとしている若者も、チームを救おうと懸命になっているベテランの選手もガンバ大阪に揃っている。未熟かもしれないが彼らの夢や熱意を消さないような組織、クラブをであることをガンバ大阪に願ってやまない。善は急げ。若き指揮官に未来を託す

ことは延ばすべき悪ではない。そして、『サッカーには夢があるのだから。』

前からのプレッシングから奪った先制点と継続性 / 2018/04/11 vs 磐田

お疲れ様です。あと少しで勝てそうという試合で、ロスタイムにゴールを奪われて敗戦という、心理的なダメージも残る中での中2日のタフなスケジュールで迎えたホームゲームです。

前節、少しずつ見えていたプレッシングの連動性は偶然だったのか、それとも確実なチームのステップアップの証なのか。この点に焦点を当てて試合を振り返る。

間違いなく、チームとしてステップしている。それを証明したのは先制点。先制点のキッカケとなったマテウス ジェズスのボール奪取からだった。磐田の3バックに対して、倉田秋長沢駿、食野亮太郎が連動してプレスをかけ、磐田のビルドアップを制限したところをマテウスジェズスがボールを奪うという形から手に入れたコーナーキックだった。

開幕当初から前線から圧力をかけることで守るんだというコンセプトをもとに戦っていた。もちろん、チャンスになるシーンもあったけれど、散発的に終わっていたのでズルズルと後退している試合もあった。しかし、この試合はこの先制点の後も倉田秋長沢駿を起点とした高い位置からのプレッシングを継続していくことができた。その成果はマテウスジェズス、遠藤保仁、ディフェンスライン4人が前を向いた状態でかつ、良い体勢でボールを奪うシーンをたくさん作っていたことにつながる。

28分50秒から29分15秒の一連の流れもすごく良いシーン。中盤、バイタルエリア付近でのパス回しから初瀬に展開。初瀬のクロスは精度を欠いて相手ボールに渡るが、その瞬間に長沢駿が猛然とプレッシング(プレスバック)を発動。磐田の前進を食い止め、三浦弦太が前向きでボールを奪い遠藤保仁に預けるまでの流れ。攻撃から守備の切り替え(ネガティヴトランジション)がうまくいってる象徴的なシーンだった。

プレッシングの起点になってたのは倉田秋長沢駿、そこに食野亮太郎が適切なポジショニングで対応していたのも印象的で、HTで食野亮太郎が交代になったのは意外だった。
後半は現地で見てるとピンチも多く、ヤバイ内容だったのだけど、基本的な前からのプレッシングが選手交代で壊れたというより、ディフェンシブサードに運ばれた時にサイドから逆サイドに大きく振られた時の対応とか、セカンドボールのこぼれを拾えるかという課題なのかなと思う。これって、4バックで守ってるとできるどうしようもない弱い面なのかなと思う。

確かに、ヤバいピンチはあったけれど、今はチームとして取り組んでいる高い位置でのプレッシングからボランチ、DFラインの選手が前向きで良い体勢でボールを奪うことを優先するべきだし、チームとして形になりそうなことを評価すること。そして、良い体勢で奪えた後の攻撃へ切り替え(守備から攻撃)がうまくできるようになっていくと良いのかなと思う。

連戦の中での選手起用の方法だけど、まだ比較的気温が低い時に体力をつけることの方が重要なのかもとも思う。いや、無理させるなという気持ちもわかるんだけど、5月になったら暑くて体力強化のためのトレーニングはできなくなる。それなら今のうちに体を鍛えて、夏と秋に動ける身体づくりを目指しても良いのかなと。昨年の今頃、体力的に厳しくて何も出来なかったU23チームをムキムキに鍛えて今の状態に引き上げたチャンヨブフィジカルコーチのことだ。もしかしたら、そんなことは織り込み済みなのかもしれない。

久しぶりの勝利に浮かれず、次の長崎戦に挑もう。確実にチームを前進させていこう。


G大阪vs磐田の試合結果・データ(明治安田生命J1リーグ:2018年4月11日):Jリーグ.jp

ガンバ大阪 2018マッチレポート | 4月11日 vs 磐田 | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB

ガンバ、7戦目の今季リーグ初勝利。クルピ流チーム作りの魅力と懸念。(Number Web) - Yahoo!ニュース

遠藤保仁のボール回収とクルピ監督とのコミュニケーション / 2018/04/08 vs神戸

お疲れ様です。

日曜日の神戸戦。勝てそうだった。だけど、ゴールを奪えず、焦った後半ロスタイムに失点。
ダメになったチームの典型のような試合だった。

水曜日のルヴァンで位置取りに変化の見えた倉田だったが、別人かのように味方選手の攻撃の邪魔をする位置取りに戻ってしまった。
倉田秋が左サイドに流れることで、食野亮太郎の選択肢が潰れていたシーンがいくつかあった。食野亮太郎がドリブルで前に進めるコースを塞いでいたり、食野亮太郎がパスを出したいと思うところに倉田秋がいない。食野亮太郎、倉田秋が左サイドライン側に寄ることで初瀬の走るコースもも消えていた。左サイドは機能不全に陥った。

これまでの対戦相手と比べて攻撃の精度の低い対戦相手だった影響してるかもしれないが、タックルをしない形でのボールの回収回数が多かった。全体の守備のバランスが良い時でないと実現できないこと。神戸戦での食野亮太郎の最大の決定機も遠藤保仁インターセプトからはじまった攻撃だった。守備での良い変化の兆候だと信じたい。
インターセプトやタックルをしないボール奪取を成功させると、守備から攻撃への転換はスムーズにいく。ファーストコントロールがボールを奪えた瞬間にできるし、チームメイトがどこにいるかわかった状態で奪えるから、状況判断もできているはずなのだ。しかも、前には大きなスペースがあることも結構ある。

神戸との試合の中で、遠藤保仁インターセプトというか、ボール回収が多かった。もともと、遠藤保仁はボールをポジショニングだけで奪える選手だ。明神智和今野泰幸井手口陽介のような派手なボールの奪い方は遠藤保仁にはできないけれど、遠藤保仁には彼なりのボールの奪い方がある。
遠藤保仁インターセプト、こぼれ球の回収が増えてきたのも久しぶりだと思いながら試合を見ていた。その分、遠藤保仁に守備の負担がかかってることの証でもある。当然だけど、遠藤保仁の守備範囲は狭いので、遠藤保仁の守備負担を低減するバランス構築が求められる。

もう一点、この試合、試合中に遠藤保仁がピッチで感じ取った状況を、クルピ監督に説明し、遠藤保仁がやりたいことをやって良いか許しを得る場面があった。
この光景だけで全てを判断することは難しいけれど、少なくとも選手たちの気持ちがクルピ監督から離れていることはなさそうだと思うし、コミュニケーションが監督選手間で取れているというのはうかがえた。もし、監督から気持ちが離れてたらそんなアクションしないはずだ。

勝てなかったことで、残留に向けてもより厳しい状況に進んでいることは否めない。このままのペースでは降格してしまう。ツキにも見放されてるし、監督交代の選択もチラつく。これから、ガンバ大阪の2018シーズンがどう転ぶかはわからないけれど、監督と選手の協調体制は見えた。食野亮太郎も可能性は見せてくれた。

苦しい。辛い。でも、みんなで一緒にガンバろう。

G大阪vs神戸の試合結果・データ(明治安田生命J1リーグ:2018年4月8日):Jリーグ.jp

ガンバ大阪 2018マッチレポート | 4月8日 vs 神戸 | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB

<ガンバ大阪>アディショナルタイムにゴールを許し、惜敗。(高村美砂) - 個人 - Yahoo!ニュース

倉田秋のポジショニングの変化 / 2018/04/06 vs名古屋

お疲れ様です。

リーグ戦最下位と、中々苦しい状況のガンバ。しかし、ルヴァンカップも大事なタイトル。2014年もルヴァンカップ(当時ナビスコカップ)でヒントを得ながらのチーム作りをしてた気がするので、手を抜かずに戦うのは大切だと思う。過密日程、休養を与えるのも手段ですが、それはGS突破を決めてからでも良いのかもしれない。

名古屋のメンバー入れ替えなどいろいろな要素はあったが、『長沢らしいワンタッチゴール』までしっかりと攻撃を構築しての4得点は称えるべき。中で待ってるFWに合わせるだけという形までボールを運ぶのがビルドアップの目的。ビルドアップの形をしっかり作れているというのは大きな収穫。また、ルヴァン杯浦和戦以降、複数得点を継続できているの大きい。

後半、メンバー交代等の影響で間延びもしたし、得点差のある中で数日後に試合が控えている以上、力を抜きながらゲームを進めたいのは選手たちの本音だと思う。もう少し、チームか『撤退しながら相手の攻撃を受けつつ、カウンターも見せる』段階に辿り着くのはまだ先だろう。しかし、U23チームは終始相手チームにボールを握らせる展開でも、追加点を奪えてる。チーム構築として、トップチームがU23のレベルまで辿り着くのがあとどれくらいなのだろうと筆を取りながら不安にも思う。

さて、この試合気になったのがトップ下の倉田秋

動きが変わった。4得点全てに絡んでるんだけど、ポジション取りが明確になってきたし、再現性も高そうな感じ。特に4点目のヤットからボールを受けて長沢駿にクロスを上げた形は典型。ウィジョが開いて開けて作ったハーフスペースのスペースを見逃さずにランニングして、遠藤保仁からのパスを受けてのクロス。実は同じような形をオフサイドになったけど、前半3分にも狙っていた。
また、3得点目もハーフスペースで倉田秋が一度ボールを受けて、サイドにいたウィジョに預けてからのクロスがシュートになった形だった。

これまでの倉田秋はボールをもらおうとするあまり、余計なところにまで動いてしまっていた。例えば、タッチライン際までボールをもらいに行って、サイドに余計な人数を使ってしまっていたりして、藤春廣輝が走るスペースをなくしてしまったりしていたのだが、ここに来て突然の変化には少し驚き。

井出遥也矢島慎也U23チームで身につけてきた、ハーフスペースを狙う走り込みを倉田秋も出来るようになりそうな気配。もともと、狭い局面でもプレーできるし、ゴールも決められる選手なので、より攻撃の幅が広がる可能性を実感させる4つのゴール。この価値は大きい。

これからも、連戦は続く。ここからはJ1リーグ3連戦。チームの形を明確にしていきながら、どうやって勝ち点を奪っていくか注目しながら応援していこう。

 

名古屋vsG大阪の試合結果・データ(JリーグYBCルヴァンカップ:2018年4月4日):Jリーグ.jp

「ハーフスペース」とは何か? ウルティモ・ウオモ戦術用語辞典#1 | footballista

戦術用語講座:ハーフスペース完全版#1 | footballista

2002年頃の北摂を騒がせた男と菅沼駿哉が巡り合った2018年 / 2018/4/1 vs 藤枝MYFC

お疲れ様です。

U23チームは負けなしのホームに藤枝MYFCを迎えての試合。
本当に最高の試合だった。序盤、3-6-1の大外の選手に松田陸がどう対応したら良いのか迷ってたりしてたんだけど、すぐに修正。ボールを握られた序盤を乗り切って、奪った先制ゴール。ビルドアップが最高。高江麗央がドリブルでハーフスペース切り込んで中に折り返してあとは一美和成が仕上げて決める!みたいな形で最高。立て続けに奪った2点目も最高。大きく振って、松田陸と一美和成でつないでハーフスペースに矢島慎也を突撃させてあとは食野亮太郎が合わせるだけ。最高。これだけで行ってよかったって思える。

やっぱ、サッカーってお互いが連携して、約束事守って信じ合っていくとボール繋がるんだなって思う。ポジショナルプレーとか難しい言葉も元を辿れば、『お互いが連携して、約束事守って信じ合っていく』ってところに行き着くのかなと。繋がらないこともあって辛いこともあるけど、繋がって奪えると本当に楽しい。矢島慎也が楽しそうだった。うん。

後半の3ゴール目も一美和成が耐えて繋いで決めた食野亮太郎が素晴らしいんだけど、シュートのこぼれ球を拾えるところに高木彰人がいるから絶対にゴールになってた。

4点目は、この試合一生懸命適切なタイミングで適切なコースをランニングしてた、おむ(山口竜弥)が頑張ってあげたクロスのこぼれ球を前の試合で数本シュート外してた高宇洋が弾丸ミドルっていうストーリーも最高。

押し込まれてもカウンターでゴールも決められる。ふつうに良いチームだし、昨年からコツコツとここまで作り上げたスタッフの皆さんえらい。頑張って食らいついた選手もえらい。もっと頑張っていこう!


というわけで、この試合気になった選手をあげます。菅沼駿哉選手です。

菅沼駿哉にとって、U23チームで試合に出てることって絶対に納得いってないはず。J1J2合わせて180試合を経験して、満を持して地元のガンバに帰ってきて、2ndチームでプレーという扱いは納得いかないと思うんだけど、チームのために本当に頑張ってくれている。

菅沼駿哉豊中市出身の選手です。ガンバ大阪のホームタウン。私は彼と同じ中学校を卒業してます。年齢は少し離れてるので、会ったこともないけど、弟はよく知ってるらしい。なので、やっぱり彼に対しての思い入れはある。

こういうのも変なのだけど、菅沼駿哉の世代からぼくらの年代(1985年〜1990年生まれ)の北摂サッカーボーイ アンド ガールズにとってのヒーロー、憧れで身近な選手って、宮本恒靖さんだったと思う。

同志社大学卒業のインテリジェンス、PK戦のゴール変えちゃうキャプテンシー、端正なルックス。そして何より、吹田にある万博記念公園で練習して、同じ街で生活してる地元感。やっぱり北摂サッカーボーイズにとっての憧れだったと思う。

『いか◯スーパーに白い車で乗り付けてた』とか、『この前街ですれ違った』とか、『マスク外したらメッチャカッコいい』とか言って、北摂の中学校の女の子達も、宮本恒靖さんにメロメロだった。2002年前後の北摂サッカーボーイズ、ガールズにとって宮本恒靖さんは華があって憧れの存在だった。

J3の開幕戦、序盤に2失点した試合だ。明らかに菅沼駿哉のモチベーション低そうな態度だった。だけど、ハーフタイム終わって後半から明らかに菅沼駿哉のプレーの質が上がった。
恒さんに色々言われたのかも分からないし、ヒーローだった恒さんの面子は汚せないとか思ったのかもわからないけど、とにかく、後半からの菅沼駿哉は本当に変わった。

数年前、岩下敬輔がやっていた汚れ仕事もやってくれる。勝つ為に若手選手に喝を入れることも、相手チームの監督と口喧嘩することも、平気でやる。そういうのって、絶対にチームに勇気を与えるし、プロとして戦うってこういうことなんだと若手選手も理解するはず。宮本恒靖さんが監督だっていうのも、菅沼駿哉にとっての意欲向上に繋がってるのかもしれない。

そして何より、菅沼駿哉本人が、彼自身がトップチームのレギュラーになる為にやるべきことだと分かってるんだろうなっていうのが伝わってくるのが凄くいい。

地元出身の選手が、チームのためにやるべきことを先陣を切ってやっているって、ガンバ大阪が、脈々と続いてきた証なのだろう。やっとガンバもこういうサイクルにたどり着いたってことなのかもしれない。

少年が選手となりたどり着いた先に、憧れていた選手が監督コーチとしていること。憧れていた人のもとで新しい発見があるサッカーに出会いプレーできていることは、彼の現役選手としても、将来のセカンドキャリアにも大きな栄養になるんだろうな。
まずは、アデミウソンが帰ってきた時にいや、そうでなくてもファビオからポジション奪えるように頑張って欲しいし、応援しよう。

そんなことを思ったシーンが藤枝戦でいくつかあったので、今日のピックアップは菅沼駿哉選手でした。

 

G大23vs藤枝の試合結果・データ(明治安田生命J3リーグ第5節:2018年4月1日):Jリーグ.jp

 

ガンバ大阪U−23 2018マッチレポート | 4月1日 vs 藤枝 | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB

 

【G大23 vs 秋田】 ウォーミングアップコラム:愛すべき古巣に帰還した菅沼駿哉。ピッチでのアピールの先に、トップチーム出場を描く - J's GOAL

三浦弦太の新たなビルドアップのチャレンジ / 2018/03/31 vs FC東京

お疲れ様です。

トップチームは魔境味の素スタジアムに乗り込み、FC東京戦。もう、完全にFC東京は去年までのガンバ大阪みたいなチームになっていた。監督は長谷川健太監督。ガンバ大阪の選手についてはほぼ丸裸にされている状態で迎えたキックオフです。

この試合は前半の2失点が本当に不用意。ガンバTVなんかでも、序盤の入り方を修正したいってみんな口を揃えて言っていたのに、序盤に2失点ではゲームとして成立しない。野球でいうなら、先発ピッチャーが2回5失点KOみたいなものです。

この2失点のきっかけが、藤春廣輝のボールスキルのなさから発生した消極的なプレーによるボールロストから生まれている現象だったと思う。

1失点目は藤春の消極的なプレーで与えたスローインから。
2失点目もボールロストは藤春のパスミス。ボールこぼれてきたので、何も考えずとりあえず、井出に預けようとした感じ。
ボールスキルあれば解決できてたようなシーンなのが辛い。ボールスキルは個人差あるけど、何とかして欲しいと思ってしまう。

たしかに、急にボールが藤春のもとに転がってきたけど、ボールを扱う技術がある選手ならもう少しなんとかなっていたのかなというモヤっと感はある。
とはいえ、やることを明確にしてあげれば特徴を活かせる選手なので、頑張って欲しいのだが負傷交代。早期の復帰を期待。

ゲームの入りに失敗したガンバ大阪、しかし、まるで去年のガンバのように引いて守るFC東京がボールを持たせてくれる。これ幸いと、前半の20分過ぎからはビルドアップからのシュートチャンスをたくさん作ることができた。
その中で大きな役割を果たしたのが、井出遥也だった。相手選手の間でボールを受ける動きが今までと比べて格段に増えたことで、持っていたボールスキルが一気に輝いた。そんなプレーからシュートシーンも作ったし、PKもゲット。1-2で前半を折り返せたのは井出の活躍があったからだろう。

後半になっても、ガンバがボールを保持する時間が続く。いや、正確に言うと、リードしているから無理をする必要のないFC東京がボールを持たせてくれた。

じわじわと押し込みながら、ガンバはいくつかチャンスを作った。そして、マテウスのチェンジサイドのパスからボールを受けた初瀬のクロスにファンウィジョのヘディングで同点に追いつくまでは良かった。

しかし、カウンターの流れの中で失点。その後は選手交代などで、変化をつけようとするも中々ゴールは割れず、敗戦となってしまった。

試合開始直後のゲームの運び方と、カウンターを浴びた時の守備対応の課題は継続して残ったままという、辛いチーム状態が続いている。とはいえ、リードされても、同点に追いつくまでのパワーは出てきている。やはり先制してしっかりゲームを作る試合ができるようにならないとマジでヤバいので、なんとかしたいところ。そのうち、攻撃も分析されて、守備も攻撃もダメになる可能性すらあると言う状況だと現状認識をしようと思う。

そんな試合の中で、ある選手のある取り組みに焦点を当てたい。

三浦弦太のビルドアップ時の変化。

三浦弦太は昨年、日本代表に選ばれたCB、世間的には広いエリアをカバーできる守備範囲とロングフィードが得意な選手と思われていそうだ。

そんな彼が今季攻撃面で取り組んでいるのが、

①ボールを受けた時に近くの右SBに斜め45度くらいのスピードあるグラウンダーのパスを出すこと。

②ボールを三浦弦太が保持してる時にプレッシングをかけてくる選手をドリブルで交わしてパスを斜めに出すコースを作ること。

なんじゃないかと思うのだ。DFラインからの正確なパスワークが出来ないといけないサッカーの形を選んでいる今のガンバにおいて、三浦弦太は攻撃面で凄くチャレンジをしている。

そんな、チャレンジが、実を結んだと思われるのがFC東京戦の2点目。ハイライトでは、マテウスから初瀬へのチェンジサイドのパスから始まったように編集されそうだけど、この攻撃を遡ると、三浦弦太からオジェソクに斜めのグラウンダーで速いパスが繋がり、またオジェソクから斜めのパスが倉田に繋いで大きく陣地を回復したところから始まる。(この後スローインになって一度攻撃は止まるけど)

斜めの角度でパスを出すことはとても重要。横パスなら守るDFラインは横にズレればOKだし、縦パスならラインを下げずにバシッと受け止めるか、ラインを下げて対応すれば良い。だけど、斜めの角度にパスを出されたら横パスでする対応も縦パスする対応も必要。故に、大きな陣地回復をする効果がどうも斜めのパスにはある。
そんな斜めのパスに三浦弦太は取り組んでるし、ドリブルでの前進にも取り組んでいる。三浦弦太スキルアップして、彼が起こす起こす変化にSB、ボランチ、2列目の選手が呼応する動きが出ればビルドアップがよりスムーズにいくはず。チームとして、三浦弦太のチャレンジを有効にしていく約束事は作ってあげてあげないと、個人のチャレンジを組織が潰す形になるので、うまく調整してあげてほしい。

ガンバの試合結果は中々ついて来ず、辛いのだけど、個々の選手がチャレンジしてることはわかる。昨年まで見えなかった選手同士がコミュニケーションを取る姿も増えてきたようにも思える。もがく選手たちの努力をひとつにまとめ、チームとしてのスケールアップに繋いでいければと思う。そのためにも、クルピ監督に求めたいのはプレーモデルの明確化と戦術的な整理して、チームのベクトルをまとめて、強い連携にしていくことかなと思う。

 

「斜めのパス」とビルドアップ力。ペップで知る、サッカーの新観戦術。 - 海外サッカー - Number Web - ナンバー

 

FC東京vsG大阪の試合結果・データ(明治安田生命J1リーグ:2018年3月31日):Jリーグ.jp

 

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